マリナーズ20年ぶりPOならず 最終戦まで大奮闘、指揮官「未来はとても明るい」
シーズン前のメディア予想を覆す大躍進、理由はどこに?
4日前だった。試合前の会見でサービス監督にこんな問いがぶつけられた。
――シーズン前の展望でマリナーズは、スポーツイラストレイテッドで69勝、ESPNでは70勝のそれぞれ地区4位と予想されていたが、それが間違いだったことを示したシーズンになった。今、どういう思いか。
笑みを浮かべていた指揮官の表情が変った。
「少し前のことだが、クラブハウスで13人の野手を集めて私は言った。『ナンセンスなことに目を通すことも耳を傾けることもやめよう。この機に及んで信じるべきは、クラブハウスの中にいる人間だけだ』とね。コーチたちもここまで機を見はからって言ってきたことだが、それをしっかりと受けとめるのは選手たちだ。お互いを信頼して、浮き沈みのある容易ではない道を進んできた彼ら自身が、ここまでの状況に押し上げたということだね」
2003年以来18年ぶりとなるシーズン90勝(72敗)を積み重ね地区2位に浮上したマリナーズは、ポストシーズンを20年連続で逃し、米4大スポーツワースト記録更新のシーズンとなったが、夏場から見せる簡単に負けない展開を維持し続けた戦いぶりには、確かなチームの成長が見えた。
選手個々の意識改革と大物選手獲得に頼らない若手選手の育成に重点を置く組織の方針が実り出したマリナーズの2022年に期待は高まる。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)