大谷翔平が大活躍できるいくつもの理由 “マンダラ”考案者・原田隆史氏の指摘

原田教育研究所を主宰する原田隆史氏【写真:荒川祐史】
原田教育研究所を主宰する原田隆史氏【写真:荒川祐史】

花巻東高に導入された“原田メソッド”がきっかけに

 投打二刀流で、歴史に残るシーズンを終えたエンゼルス・大谷翔平投手は、どのように成長してきたのだろうか。その道のりを知るキーマンに迫った。原田教育研究所を主宰する原田隆史氏は、ツールを活用することで目標達成を後押しする“原田メソッド”の考案者として知られる。

 大谷は花巻東高時代にこの考え方に触れ、一歩一歩成長の階段を上っていった。高校1年生の時に「ドラフト1位で8球団の指名を受ける」という目標と、そこに至るまでの行動を書き込んだシートは“大谷マンダラ”として知られる。これは正式名称を「オープンウインドウ64」といい、原田メソッドの一部だ。

 原田氏は大学卒業後、大阪市内の中学校で20年間にわたって保健体育教諭を務めた。生徒指導主事として荒れた学校を再建し、陸上部の顧問としては生徒を13度の日本一に導いた。その経験を元に開いていたのが、教師塾という私塾だ。そこに花巻東高の佐々木洋監督が訪れ、同高野球部に原田メソッドを提供した。大谷の先輩にあたる菊池雄星投手(マリナーズ)は特に熱心で、教師塾にも2度参加し教えを請うほどだった。

 2016年、17年と、花巻東を訪れたこともある。当時日本ハムで大活躍していた大谷が、高校時代に記していた“マンダラ”を見て驚いた。全16枚、1枚ずつ磨き上げられたものだった。「最後が一番鋭いもので、64個の行動全てに責任者をつけていたんです。チーム大谷を作り上げていたんですね」。責任がある、と指名されれば、真剣に取り組まざるを得ない。栄養面は母親、野球の技術は佐々木監督……と、すべての行動で大人を巻き込んでいた。

 さらに、高校当時の大谷のトレーニング風景が写ったビデオも見た。その激しさは「世の中には出ていませんが、強烈な筋トレですよ。質とレベルの高さに驚きました。ここまでやるか……」と専門家を脱帽させるほどのものだった。だからはっきり言い切れる。

「大谷翔平が活躍できている理由の一つは、科学的な裏付けのある筋力トレーニングをジュニア時代からずっとやって来たことですよ」

 原田氏が教え子を中学陸上日本一に導く過程で、筋トレは欠かせないものだった。指導していた中学校は、グラウンドが狭く、練習環境さえ確保できなかった。そこで筋力トレーニングに着目し、走るトラック種目ではなく跳躍や投てきなどのフィールド種目に集中した。スクワットで女子が100キロ、男子は150キロを持ち上げるまで鍛え上げた。そんな経験をしてきた目にも、大谷のトレーニングは特別ハードに映った。

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