「格好いいこと言っていい?」鷹・長谷川が明かす秘話 伝説の一打は骨折していた
「『痛いから出られません』と言えるような覚悟で試合には挑んでなかった」
そう言うと、この時に起きていた衝撃的なエピソードを語り出した。
「あの時、骨折れていたんですよ。肩。肩の骨が折れていて、腕上がらなかったんです」
クライマックスシリーズの調整のために出場した秋季教育リーグ「みやざきフェニックスリーグ」。その試合中にダイビングキャッチを試みた際に肩を強打し「変な音がした」という。激痛に襲われ、食事の際に箸も持てなくなっていた。
そんな状況でも長谷川に戦列を離れる気はなかった。「その年はスタメンで使ってもらっていたので意地でしたね。監督の気持ちにも応えないといけないし『痛いから出られません』と言えるような覚悟で試合には挑んでなかったので、腹をくくってやっていた。ですけど、あの試合で限界だったので、翌日には監督に『無理です』と言おうと思っていたんです」。決死の覚悟で挑んでいたクライマックスシリーズ。ただ、体は限界に近づいていた。
肩も上げられない状態で、涌井から打った起死回生の適時打。だからこそ長谷川も「今日が終わらないと明日もないなと思って、そういう気持ちもあったので、自分でも分からないような、どう打ったか分からないような火事場のクソ力じゃないですけど、本当に今考えても説明できない打席だったと思います」と懐かしそうに、当時の秘話を語った。
類稀なる打撃技術と、野球に取り組む姿勢は若手選手にとって生きた教材でもあった長谷川。「僕198本しか打ってないんで、200本打てる打者を育てる、育てるというか、そういう選手に関わりたいなと思うので、そういう夢は持っています」と、今後の指導者への希望を語った。