内々定取り消しで一念発起 2度の“軟式転向”異色の韋駄天が待ち望むドラフト指名

北海学園大・鈴木大和(左)と島崎圭介監督【写真:石川加奈子】
北海学園大・鈴木大和(左)と島崎圭介監督【写真:石川加奈子】

スペシャリストとして「生きる道ある。挑戦してみよう」

 ここ数年、ソフトバンクの周東佑京内野手やロッテの和田康士朗外野手ら足のスペシャリストが活躍する姿も、鈴木の心理を変えた。「今は足が重要視されています。プロでこうやって生きる道もあるんだと思ったことも、挑戦してみようと思ったきっかけです」と語る。

 プロを遠い世界にしたのが才能あふれる高校同期たちなら、鈴木のプロ挑戦を最終決断させたも彼らだった。「同期の活躍が刺激になったということが1番大きいです。もう一つは今春の大学選手権で初戦敗退したこと。上のステージでやりたいという気持ちが芽生えました」と気持ちは固まった。

 足は一級品、守備範囲も広く、遠投100メートルの強肩を誇る一方、打撃には課題が残る。「プロに行けるなら打撃を改善してアピールしたいです。センスのある野球選手はないので、がむしゃらに一生懸命頑張りたい」と伸びしろを信じ、プロで成長したいと考える。目指す選手像は、ロッテの荻野貴司外野手。「自分のプレースタイルを理解して、バットを短く持ち、ガッツがあって、すごく良い選手」と未来の自分に重ね合わせる。

 日本ハムが23年に開業する新球場の所在地である北広島市で生まれ育ち、現在も住んでいる。夜間ライトアップしている建設現場を見に行ったこともあり「プロに行って、ここでプレーできたらいいなと思います」と胸を躍らせる。

「心配性で先のことを悪く考える面がある」という自分の殻を破り、プロ志望届提出という大きな一歩を踏み出した。「期待と不安……じゃなくて期待とドキドキが半々。今は先のことは何も考えずに待ちます」と笑顔で現在の心境を明かした鈴木。高校同期たちとのプロでの再会を願いながら、挑戦の結果を静かに待つ。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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