甲子園での決勝は「やっぱり羨ましい…」 2016年全国高校女子V腕が語る聖地への思い

徳島県阿南市で女子野球の普及振興に携わる龍田美咲さん【写真:本人提供】
徳島県阿南市で女子野球の普及振興に携わる龍田美咲さん【写真:本人提供】

龍田美咲さんは神戸弘陵の1期生で初優勝時のエース

 今夏初めて阪神甲子園球場で開催された第25回全国高校女子硬式野球選手権大会決勝戦で、神戸弘陵は高知中央を破り5年ぶり2度目の優勝を果たした。女子野球界にとって歴史的なこの一戦を、神戸弘陵の1期生で初優勝時のエースだった龍田美咲さんは、どんな思いで見つめたのだろうか。現在は徳島県阿南市の野球のまち推進課で女子野球の普及振興に携わる龍田さんが、これまでの野球人生と今後の夢を語った。前後編でお届けする。

 仕事を終えてスマートフォンを手にした龍田さんは、決勝戦の中継画面を食い入るように見つめていた。神戸弘陵と戦っていたのは高知中央。「母校を応援したい気持ちもあるんですけど、四国で頑張っている子たちも応援してあげたい。どっちを応援したらいい? と複雑な感じでした」と優しい笑みを浮かべた。

 甲子園開催が5年早く実現していれば、あのマウンドに立っていたかもしれない。龍田さんは高校3年の夏、2016年に兵庫県丹波市で開催された選手権でエースとして優勝投手になった。「今回母校が決勝で甲子園に行くというのは、すごく嬉しくて誇らしいんですけど、やっぱり羨ましいなあという気持ちがあります」と率直な思いを明かした。

 甲子園でのプレーに憧れていた。2人の兄が徳島商時代に出場した2011年夏の甲子園には家族として応援に行き、思いはさらに募った。「高3の頃に、甲子園でできるかもというお話もあったのですが、実現しませんでした。『甲子園で試合をしたいね』とみんなで話していましたが、できないことを分かった上で夢見る感じの話でした。甲子園イコール男子、それが当たり前だと思っていました」。高校野球の聖地は遠い存在だった。

 この歴史的な一戦を見て龍田さんは、女子野球の進化を感じたという。「私たちの時は、力さえあれば抑えられるという感覚でしたが、今はそれだけでは抑えられない。打者も技術面ですごくレベルアップしているので、見ていてすごく楽しかったです」とこの5年間の技術的進歩に目を見張った。

女子プロ野球リーグに4年在籍、今年から徳島県阿南市の野球のまち推進課に勤務

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