どうなるMVP争い 専門家「ヤクルト優勝すれば間違いない」 阪神、ロッテなら混戦か
ロッテ荻野は貢献度大も「1番打者はなかなか選ばれない」
オリックスとロッテがつばぜりあいを演じているパ・リーグはどうか。「オリックスなら、山本由伸(投手)しかいないでしょう」と飯田氏が語る通りだろう。17勝、防御率1.46、193奪三振でリーグ3部門トップ。5月28日のヤクルト戦以降は無傷の14連勝中で、他を寄せ付けない。
一方、リーグトップの打率.339をマークしている吉田正尚外野手も、「いるのといないのとでは、オリックスの野球が変わってしまうくらい影響力が大きい」(飯田氏)。山本にも劣らない貢献度だが、10月2日のソフトバンク戦で右手首付近に死球を受け、尺骨を骨折。長期離脱に追い込まれたのが残念だ。
パ・リーグのMVP争いも、ロッテが優勝した場合は混戦になりそうだ。攻守に渡って全員でつなぐ野球を展開しており、突出した選手はいない。飯田氏は「僕が選ぶなら、荻野(貴司外野手)です」。全試合で1番を務め、打率.303、20盗塁でチームを引っ張っている。「荻野、中村(奨吾内野手)が出塁し、(レオネス・)マーティン(外野手)、(ブランドン・)レアード(内野手)が還す、そして勝つのがロッテのパターン。特に荻野の存在が効いていると思います」と言う。
ただ、自身も現役時代に1番を打った飯田氏は「1番打者はなかなかMVPを取れないんですよね……。本塁打、打点の多い中軸の方が高く評価されがちなので」と苦笑い。ロッテが優勝した場合、実際の投票では、リーグトップの36セーブを挙げている守護神の益田直也投手、レアード、マーティン、中村奨らも票を集めそうで、予断を許さない。
投票者によって大きく評価が分かれることもあるMVPレース。最高の栄誉に輝くのは誰なのかを考えながら、熾烈なペナントレースを見るのも一興ではないだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)