ドラフト当日に再確認した“仲間との絆” 鷹2位の慶大・正木が目指す有終の美
首位の立大に逆転勝ちの慶大、主砲・正木は2安打1打点
東京六大学野球の秋季リーグは16日、神宮球場で2試合を行った。ここまで無敗で2位につける慶大は、勝ち点5で首位を走る立大に8-5で逆転勝利を飾った。11日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」でソフトバンクから2位指名を受けた慶大・正木智也外野手(4年)は2安打1打点。4番の仕事を果たした背番号1は、試合後に仲間への想いを吐露した。
2季連続優勝に向けての大一番。「気持ちの変化はあんまりなくて、ドラフト前から立教戦にあわせてやっていました。その間にたまたまドラフトがあっただけ」と臨んだ。第1打席は中前打で出塁すると、5番・福井章吾捕手(4年)の犠打で二塁へ。7番・橋本典之外野手(4年)の右前適時打で一気に本塁へ生還した。普段はスマートな正木が、泥臭くヘッドスライディングを見せた。
3回の第2打席では、2点目となる左犠飛。4回に立大に逆転を許すも、慶大は6回に5安打3点を奪って再逆転。正木は7回にもダメ押し点に繋がる右前打を放ち「バッティングの調子自体もすごく上がってきて、自分の中でもいい形で打てている」と頷いた。
泥にまみれた胸の「KEIO」の文字が、この試合にかける思いを物語っていた。ドラフト会議を終え、大学最後のリーグ戦への想いはさらに高まる。「指名されて寮に戻ってきた時に、チームメートが本気で自分のことのように喜んでくれて……。それが本当に嬉しくて、この仲間と優勝したいなという想いがドラフトの日でもっと高まった」と言う。
慶応高からの後輩である廣瀬隆太内野手(2年)が「技術はもちろんですけど、練習に対する姿勢とか私生活とかしっかりしているし、これがプロに行く選手なのかなと思いますね」と話すように、正木の日頃の姿勢が仲間の心を動かしているのだろう。
慶大はこれで5戦負けなし。勝率10割をキープした。「こいつらと一緒に優勝して日本一を獲りたい」。“10・11”をへて、より強固になった慶大の絆。首位立大との一戦を制し、2季連続優勝へ加速していく。
(市川いずみ / Izumi Ichikawa)
市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。