「指導法がアップデートされていない」 全国V3度の名将が憂う少年野球の現実

社会人野球の経験をボーイズチームに注入

 大学を卒業し、社会人野球のNTT関東(現・NTT東日本)野球部に入部したのは1988年のことです。プロ野球がまだ「走れ! 走れ!」なんてやっていた頃ですが、チームには専属のトレーナーがいて、大会前、大会中、オフシーズンと時期に合わせたトレーニングメニューが確立されており、器具を使ったウエートトレーニングも取り入れていました。

 野球に適した筋肉をつけるにはどういうトレーニングをすればいいのか、どういう食事を摂ればいいのかなどの指導を受けました。学生時代は投げて、打って、捕ってっていう単純な野球しかしてこなかったので、目を見開かれる思いでした。

 当時の社会人野球は金属バットを使用していて、国際大会ではキューバやアメリカのようなパワー勝負の野球を相手にしていましたから、世界基準の最新の野球理論を積極的に取り入れる土壌がありました。そして、その文化がずっと受け継がれている。私は最先端の野球をやっているのはプロではなく社会人野球だと思っています。

 京葉ボーイズでも、社会人野球と同じ野球を教えています。もちろん、中学生にもわかるように、かみ砕いて教えますけど、ベースは社会人野球と同じです。子ども達にもいいます。「君たちに教えているのは、社会人と同じ最先端の野球なんだぞ」って。そんなボーイズのチームは他にはないでしょうね。

○プロフィール
関口勝己(せきぐち・かつみ) 1965年4月13日生まれ、栃木県出身。小山高、明大を経て1988年NTTに入社。NTT関東(現NTT東日本)野球部では95年までの現役9年間で都市対抗野球大会に6回出場、社会人日本選手権に2回出場。91年には日本代表の対キューバ戦初勝利のメンバーとなる。2003年から08年までNTT東日本でコーチを務め、09年から京葉ボーイズの指導にあたる。これまでにボーイズ全国大会3度優勝、19年には春、夏連覇を果たした。

(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)

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