ベンチ外から3冠王 早大・今井に「もう一度チャンスを」野球継続導いた主将の直訴
打率.471、3本塁打、14打点の活躍で戦後15人目の3冠王に
連敗スタートから始まった今季の早大の躍進を、この男無しには語れない。東京六大学野球の秋季リーグ戦は31日に全日程を消化し、早大の今井脩斗内野手(4年)が戦後15人目となる打撃3冠に輝いた。優勝こそ逃したが、打率.471(34打数16安打)、3本塁打、14打点をマーク。「練習試合とかだと3割いかないくらいのバッターなので、今回4割7分超えたのは出来すぎかなと思います」。首位打者賞のトロフィーを手にしながら、苦笑いを浮かべた。
2年秋は代打で4試合に出場も、怪我もあり、その後はなかなか出番は巡ってこなかった。レギュラーになったのは今秋のこと。小宮山悟監督は「バットを持たせたらプロレベル」と、今井のセンスを評する。しかし今季最初のカードを前に「早大野球部として看過できないことがあった」と、守備練習に取り組む態度から、立大戦ではベンチを外れてスタンドで観戦した。
そんな中、主将の丸山壮史内野手(4年)が「もう一度チャンスを与えてください」と監督に直訴。それを受け、本当は使うつもりはなかったという10月2、3日の東大戦に8番で出場、計11打数8安打9打点と打ちまくると、16日の明大1回戦では、本人が「目標にしていた」と語る4番に抜擢され、2本塁打を含む4安打5打点を記録した。「自分のために動いてくれた仲間には感謝しきれないです」と言葉に力を込めた。
3冠王獲得に指揮官も「獲っちゃいましたね」と感心したが、「経験の無さというのかな。これまで修羅場をくぐってきた選手ではないので、振り返るともったいない打席があった。ひょっとしたらこれから先(3冠王が)足かせになるかもしれない。それも含めてしっかりやってもらいたいなと思います」と厳しい言葉とともにエールを送った。
今春に怪我をしたこともあり、卒業後は野球は続けない予定だったが、今季の大活躍で社会人チームからのオファーがあり、継続することが決まった。「気持ちを新たに、一歩ずつ進めたらいいなと思います」と胸を張った。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)