公立の進学校を13年間で7度聖地へ 名将が実践“甲子園基準”の練習法とは?

ノックで守備位置に着くまで、ベンチに戻るまでの時間を設定

 45秒以内と35秒以内。45秒は自分たちが攻撃から守備に移る際、捕手が走者や打者をしていた時を想定したもの。35秒は捕手に打順が回らず、レガースなどをつけて守備の準備をしている時のものだ。

「打者の一塁までの到達タイムや攻守交替のタイムなど、甲子園の平均を教えてもらい、普段の練習から感覚を身に付けるようにしていました。甲子園の舞台でもいつもと変わらないプレーをするためです。素早く守備につけば、外野手は風や打者の特徴を確認できますし、内野手はグラウンドの荒れたところを手でならす時間があります」。

 守備が終わってベンチに戻るまでの設定タイムは10秒。これも高校生らしい全力疾走が目的ではなく、甲子園の基準に合わせたものだ。ユニホームを脱いで制服姿になった時は、スニーカーではなく革靴に徹底した。甲子園切符を手にすれば、知事や市長を訪問する機会があり、組み合わせ抽選の時も革靴を履く。

「日常を甲子園基準に上げれば、慌てずに普段通り動けます。常に甲子園を意識することで、結果も変わってきました」と栗林氏。甲子園常連校だったのは偶然ではなく、確かな根拠があった。

○栗林俊輔(くりばやし・しゅんすけ)1972年9月8日生まれ、静岡県磐田市出身。磐田南高から筑波大。現役時代は捕手。磐田北、浜松工などの監督を経て、2008年から昨年3月まで静岡高を指揮した。甲子園には春3度、夏4度出場。静岡高では西武・鈴木将平外野手ら3人のプロ野球選手を輩出。浜松工の教え子には元日本ハム・浦野博司投手がいる。

(First-Pitch編集部)

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