巨人主力に備わる“献身性” 専門家も感嘆、ファイナルS進出決めた原采配の妙
岡本和の穴を守備の面で埋めた若林、廣岡
前日の第1戦では、両軍無得点の5回に、先頭の丸が内野安打で出塁した直後、ウィーラーが来日7年目にして初の犠打を投前へ決めた。これが吉川尚輝内野手の先制適時打につながっていた。
原監督は以前から、チームリーダーの坂本であれ、現役時代4番を打っていた頃の阿部慎之助作戦コーチであれ、必要とあらば迷わず送りバントを命じてきた。「巨人軍は個人軍であってはならない」とする指揮官の、面目躍如たるところと言える。
一方、もともとファーストステージ最大の難題は、左脇腹痛で欠場した岡本和真内野手の穴をいかに埋めるか──だった。実際、レギュラーシーズン全143試合で「4番・三塁」を務めた主砲の欠場は、チームに暗い影を落としていた。
その面では、投手陣が第1戦で零封、第2戦も2失点でしのぎ、得点力の低下をカバー。野口氏は「岡本和の代わりにサードに入った若林(晃弘内野手)、廣岡(大志内野手)がよく守ったことも、見落としてはいけない。岡本和と同じくらい打てと言われたら無理でも、同じくらい守れと言われる分には何とかなる。2人はそれを全うしました」と評価する。
第2戦に「2番・三塁」でスタメン出場した若林は、1点リードの3回、1死一、二塁のピンチで梅野が放った三塁線のゴロを逆シングルで抑え、三塁ベースを踏んだ後に一塁へ送球。見事に併殺を完成させた。第1戦に三塁手としてフル出場し、この日も8回から三塁守備に就いた廣岡は、近本の三遊間への当たりを軽快にさばいた。
2戦2勝という“最短距離”でファーストステージを駆け抜け、10日からのファイナルステージで王者のヤクルトに挑む巨人。豊富な経験に裏打ちされた試合運びのうまさが、本当にモノを言うのはこれからだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)