巨人原監督が短期決戦で見せた“勝負勘” 9年前にもCSファイナルで奇跡演じる

9回、サヨナラ打を放ちガッツポーズをする巨人の代打・石井義人【写真:共同通信社】
9回、サヨナラ打を放ちガッツポーズをする巨人の代打・石井義人【写真:共同通信社】

12年CSファイナルでMVP、巨人の代打職人・石井義人氏が語る「控えの重要性」

 勝負勘が冴え渡る采配はファイナルステージでも見られるのか。巨人はCSファーストステージで阪神に2連勝し、ヤクルトとのファイナルステージ進出を決めた。短期決戦で見せた勝負師・原辰徳監督の攻めの采配が話題を呼んだが、思い起こされるのは3連敗からひっくり返した2012年の中日とのファイナル。第5戦で殊勲のサヨナラ打を放ったのは代打の代打で登場した石井義人氏だった。同ステージのMVPを獲得したバットマンが当時を振り返る。

 先日、行われた阪神戦のファーストステージ第2戦。2点を追う3回無死一、二塁の場面。投手・高木の代打に八百板が送られた。サインでバントは出ず、巨人ベンチは強攻策。八百板が右前打を放ち、その後の逆転劇につなげた。普段の練習から首脳陣が選手の状態を見極めていた賜物だった。

 巨人が最後の日本一になっている2012年。セ・リーグのCSファイナルステージでは巨人は中日に3連敗を喫し、王手をかけられていた。10月21日の第5戦、2-2の同点の9回1死満塁。原監督は中日・岩瀬に対して、代打・谷佳知をコールした。中日が右投手の山井を送り込むと、左打者の石井を代打に告げた。初球(ファウル)から積極的にスイングし、結果は5球目を左前へ落とすサヨナラ打。迷いのない代打攻勢で劇的な勝利を呼び込み、3勝3敗(1勝のアドバンテージ込み)の成績とした。

 控えの選手の使い方がうまい原監督の手腕は短期決戦では大きな武器となる。巨人は第6戦も勝利し、日本ハムとの日本シリーズに挑み、勝利した。石井氏に当時のチームの強さについて聞いた。

「チーム自体がとてもまとまっていました。坂本選手や長野選手(現・広島)らレギュラーメンバーが若かったので、勢いもあった。ただ、何が強かったと聞かれれば、サブメンバーですよね。代打で言ったら矢野(謙次)選手がいて、谷さんが(高橋)由伸さんがいて、寺内(崇幸)選手、鈴木尚広選手。俺はいらないんじゃ?とも思いました」

 第5戦では勝負強い谷が代打で送られたことで、ここが勝負のポイントとなると見られたが、まさかの代打の代打という展開。原監督は予想をしていたから、迷わずに石井の名をコールした。

「実は準備していなかったんです。もちろん体は動かしてはいたのですが、サヨナラに備えて、ペットボトルの水(サヨナラが決まった時にヒーローへ浴びせるため)を用意していました。谷さんだから、そこに代打はないと思っていたんでしょうね。いきなり山井になった時に、コーチから『ジャッキー(石井の愛称)行くよ』ってなりました。『えーっ!?』となりましたよ」

シーズン代打で37打数15安打、打率.405という驚異的な数字

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