「奥川は山本に投げ勝った」と専門家…燕逆転サヨナラ負けも若武者の投球に光明
「高校時代に甲子園でいい経験をしてきたということ」
実際、先にマウンドを降りたのは山本だった。6回、2つの四球を与えた1死一、二塁から、中村に中前への先制適時打を献上し、この回限りで降板。6回で112球を要し、5安打9奪三振2四球1失点だった。一方の奥川は7回も続投。1死から代打モヤに同点ソロを浴びたが、7回97球、6安打1失点の内容を残した。
「モヤの1発は、カウント1-1からスライダーが外角高めに甘く入った。完全な投げ損ない。身長201センチでリーチのあるモヤにとっては、もっと打球を飛ばせるコースだった。捕手の中村が構えた通り内角に来ていれば、窮屈な打撃になりファウルを稼げていたはず。後続の福田、宗を打ち取ったところから見て、決してスタミナが切れたわけではない」と野口氏。「1点もやれないという重圧の中、相手に先制を許さず、1イニング長く投げた。この日に関しては“山本に投げ勝った”と言っていいと思います」と評した。
高卒2年目の20歳にして、初めての日本シリーズの大舞台で堂々たる投げっぷり。野口氏は「高校時代に甲子園でいい経験をしてきたということなのでしょうね」と感心しきりだ。星稜高(石川)時代に、2年生の春から4季連続で甲子園出場を果たし、3年生の夏には準優勝を成し遂げた実力と度胸。やはり半端ではなかった。
結局、試合はヤクルトの守護神マクガフが9回、2点リードを守れず逆転サヨナラ負け。願わくは今シリーズで奥川の投球をもう1度、できれば山本との投げ合いで見てみたいものだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)