故障しても、控えでも…目指せるプロ入りの道 ヤクルト3位指名の右腕が示す新たな形
怪我をしている選手や主力ではない選手に「希望を与えられる存在に」
2015年以来6年ぶりにセ・リーグ優勝を果たしたホットなチーム。「選手層も厚いと思いますし、僕もそこで負けていられないなという気持ちがあります」。本拠地・神宮球場のマウンドには高校時代に上がった経験があるが「緊張すると思います。緊張するけど、その緊張が幸せというか、楽しく感じられると思います。限られた人しか経験できない感覚ですから」と楽しみで仕方がない様子だ。
目指すは守護神の座だが、まずは中継ぎとして実績を積み上げる心構えだ。「真っ直ぐが武器という選手が自分の理想。そういう選手になりたいと思います」。手術の影響もあり不安定だった制球が夏頃から落ち着き、球速、質ともに納得のいくピッチングができるようになってきた。同時に「スピードが全てではありませんが、もう少し上がりそうな感じはあるかな」と、さらなる成長の手応えも感じている。
ドラフト指名を受け、プロ入りすることにはなったが、まだスタートラインに立っただけ。厳しいプロの世界で生き残らなければ意味はない。これまで支えてくれた人たちのためにも、自分のためにも、そしてこれからプロを目指す“後輩たち”のためにも――。
「僕みたいに大学の公式戦で1度も投げたことがない選手がドラフトにかかるなんて滅多にないことだと思います。だから今、怪我をしている選手や主力として試合に出られていない選手に希望を与えられる存在になれるように頑張りたいなと。結果が出ていなくてもプロ入りして活躍できるんだよ、と言えるようなりたいですね」
自身が松坂大輔に憧れたように、近い将来、神宮のマウンドで打者を圧倒する“異例の経歴を持つ右腕”に憧れた少年がプロの門を叩く。そんな日がやってくるような活躍を果たしたい。
(佐藤直子 / Naoko Sato)