失策数最多の阪神よりも苦しんだ意外なチームが… データで見るセ球団の守備力は?
守備指標「UZR」でセ・リーグトップだったのは広島
守備の名手に贈られる「2021年度 第50回三井ゴールデン・グラブ賞」が2日に発表される。個人で守備に優れた選手が選ばれる同賞だが、では、球団全体として今季、守備力が高かった球団、守備に苦しんだ球団はどこだったのか? セイバーメトリクスの指標などを用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを通じて検証してみよう。
2021年のセ・リーグで最も失策数が少なかったのは巨人で45失策。守備率でも.991をマークしてリーグ1位だった。巨人は二塁の吉川尚輝、三塁の岡本和真、遊撃の坂本勇人、外野手では丸佳浩が守備率で各ポジションのリーグトップとなり、固い守備を誇ったことが分かる。
だが、セイバーメトリクスの守備指標である「UZR」で見ると、セ・リーグのトップは広島になる。名手として知られる菊池涼介がリーグで3番目の「UZR」となるなど、内野陣で傑出した選手はいなかったが、外野で西川龍馬、鈴木誠也がリーグトップに。巨人は広島に次ぐセ・リーグ2位で「UZR」は6.5だった。
また、守備率と失策数では阪神がリーグワースト(守備率.984、86失策)。守備面での課題を突きつけられた格好だが、指標「UZR」で見ると、リーグワーストだったのは意外にも、リーグ優勝を果たしたヤクルト。阪神の-2.4に対して、ヤクルトは-16.3と大きな差がついている。ヤクルトは守備指標に優れた選手がおらず、助っ人のオスナ、サンタナが著しく低い数字となっている。
ヤクルトの守備率.985、79失策はリーグ4位だったものの、リーグワーストの失策数を記録した阪神が守備面で苦しんだ印象が強いかもしれないが、守備の指標で見ると、ヤクルトが守備に課題を抱えていたことが分かる。セ・リーグを制し、20年ぶりの日本一にも輝いたヤクルトだが、守備には不安を残していた。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。