野球をやるのは「気分次第」 NPB通算97勝“松坂世代”の久保康友が現役を続ける理由
「やりたいときに野球をやって、やりたくなかったらやらなくていい」
“松坂世代”最後の大物と呼ばれた41歳の久保康友投手が再びマウンドに上がる。NPBで通算97勝を挙げ、その後はアメリカ、メキシコでプレーした右腕はなぜ現役を続けるのか。そこには“我が道”を貫く男の姿があった。
久保の姿は兵庫・三田市にあった。2日、さわかみ関西独立リーグ「兵庫ブレイバーズ」の入団会見を行い背番号は「15」に決まった。コロナ禍もあり2年のブランクがあったが、練習ではブルペンに入り、熱のこもった投球を披露していた。
世代を牽引していた西武の松坂大輔投手は今季限りで現役を引退。NPBに所属する同級生はソフトバンクの和田毅投手の1人だけ。大ベテランと言われる年齢になっても投げ続ける理由は至ってシンプルだった。
「現役にこだわるのを今まで考えたことがない。やりたいときに野球をやって、やりたくなかったらやらなくていい。いまだに現役かどうかよく分かってない状態なので」
2017年にDeNAを退団してからは“趣味”の一つして野球を楽しんでいる。海外で得た経験も人生にプラスになっているようで「日本の常識は通じない。こうしなきゃいけないというルーティンをいい意味で崩してくれた」と振り返る。
NPB、米独立リーグ、メキシカンリーグと野球漬けの日々を過ごしていたが、2019年からはコロナ禍もあり一旦ストップ。浪人人生を送っていたが「家族との時間は今までの人生で一番密に過ごせた。うまく意識を変えて家族のために時間を費やすのをやっていた」と充実した時間を過ごせたようだ。
何かに縛られる人生を過ごすことは毛頭ない。「自分の気分次第で野球をするときはして、しないときは家族と一緒にいる。これまでも自然体でずっとやっている、何かをしなければいけないというのは持たずに今後もそんな風にやっていきたい」と語る。
来春のリーグ戦でのデビューを見据え体を仕上げていくが、将来的には再び海外でのプレーを視野に入れている。「再び海外に目を向けたい。引き続きやりたい気持ちもある。日本と真逆の文化の国に行ってみたいですね」。あくなき向上心を持つ久保の野球人生はまだ終わりそうにない。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)