時には“わざと失敗させる”ことも必要 怒っちゃいけない現代少年野球の指導法

現場指導者が語る指導の難しさ
現場指導者が語る指導の難しさ

みんなの前で怒るとパワハラ…現場指導者が語る指導の難しさ

 指導者だって、怒りたくて怒っているわけではないんだ……。どんなスポーツの指導者も一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。昨今は厳しい指導への風当たりも強く、どう指導するのが正しいのか困っている指導者も多いと思います。取材の中で聞こえてきた現場の疑問を紹介し、解決する『First-Pitchコーチ』では今回、指導者たちが抱える苦悩について考えていきたいと思います。

 ひと昔前、野球の指導者といえば「怒鳴る」ことが当たり前だったのではないでしょうか。それを乗り越えて、プロ野球選手になった人もいるでしょう。ただ、今の時代、それはパワハラだと保護者から批判を受け、最悪の場合SNSで拡散されたりします。体罰も同様に、厳しい視線を受けるようになってきました。

 子どもたちがのびのび野球を楽しむ環境作りをするために、過度な叱責や体罰等の暴力が淘汰されるのは当たり前かもしれません。しかし、その環境に乗じて好き勝手する子どもたちが、怒ることのできない指導者を困らせている現状もあります。

 ある少年野球チームの指導者は「どの程度怒っていいのか分からない」と悩みを口にしていました。あまりに怒らないと話も聞かず、遊んだりおしゃべりばかりで他の選手たちにも迷惑をかけたりますが、少し叱ると指導者が怖いと保護者に報告して対応に追われるようです。「本当に野球がしたいのか分かりませんよね」と、頭を抱える状況が続いているようです。

 一方で、在籍100人を超える中学硬式野球チームの指導者には「怒るのではなく選手と話をします。真剣にやるかどうかを選手に選択させます」という考えで指導にあたっていると聞きました。選手に自身の言動について考えさせる場を設けることが、変わりゆく指導環境に対応する1つの方法になりそうです。

わざと失敗させることで自分の行動を振り返らせる

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY