時には“わざと失敗させる”ことも必要 怒っちゃいけない現代少年野球の指導法
わざと失敗させることで自分の行動を振り返らせる
話を全く聞かずチームに迷惑をかけ、指導者を困らせる選手がいたとしても、簡単に怒ったりできない状況が今の少年野球の場にはあります。それを打破するには「対話」がポイントになるようです。
「100人を超える大所帯になると、3割の選手が話を聞いていたら御の字。その他は、真剣に聞いているフリをするか、平然とそっぽを向いてる。だから1対1で話す時間を作る」と話す指導者は、誰に言っているのかという意識を持たせることが難しい集団ミーティングより、個別の時間を大切にしていると言います。これにより、みんなの前で注意することによって、パワハラだと言われてしまうのも防げます。
また「怒鳴ったところで、子供たちは怒られたことしか覚えていない。失敗させて、どうなりたいか聞くのが効果的」と、怒ること自体に意味を感じていない指導者もいます。実際、試合前「俺、打てるからそんなんいいんですよ!」と指導者の話を全く聞かなかった選手が5打数無安打3三振と散々な成績に終わった試合後に「前の試合も打ててなかったけど、どうするの? このままでいいならそれでいいと思うけど」と語りかけると「教えてください」と歩み寄ってきたそうです。
このような対話は、やる気のない選手からその理由を引き出すことにもつながるようです。「やる気がない理由の多くは、『試合に出られないから』という場合がほとんど。試合に出るには上手くなるしかないので、選手に問題提起することで『僕はどうしたらいいですか?』という言葉を引き出しやすくなる」と話してくれた指導者もいます。
子どもたちを成長させるのがうまい指導者に共通しているのは、選手が自身の言動を振り返る時間を設けていることです。そのために、時には“わざ失敗させること”も必要かもしれません。人から言われてではなく自分で“感じて”気付くので、その後の取り組みが変わりやすいと考えられます。
もちろん、全ての選手の問題が解決するわけではありませんが、今の指導現場ではコミュニケーションがより大切であることが分かります。選手と指導者間だけでなく、指導者間での適切なコミュニケーションも、これからの少年野球には必須になってきそうです。
(First-Pitch編集部)
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