兄弟の絆、愛する娘の誕生日… Honda熊本、10年目のベテランが輝いた“約束のアーチ”
12月6日は娘・凛香ちゃんの2歳の誕生日、本塁打を打つことを約束
逆方向への一打が18年ぶりのベスト4を手繰り寄せた。Honda熊本の稲垣翔太内野手は、6日に東京ドームで行われた第92回都市対抗野球大会・準々決勝の東邦ガス戦で今大会2本目の本塁打を放った。チームは2-1で2003年以来、18年ぶりの準決勝進出。試合後には、娘と約束をしていたことを明かした。
この日「3番・遊撃」で先発出場した稲垣は、0-0の4回先頭で左翼席へ先制ソロ。チームの流れを引き寄せた一発に「あまり感覚は良くなかったんですけど、入ってくれてよかった」と嬉しそうに頬を緩めた。続く古寺宏輝内野手も右翼席に2者連続となるアーチを運び「ヒーローを持って行かれた感じがする」とジョークで笑わせた。
打たなければいけない理由があった。この日は娘の凛香ちゃんの2歳の誕生日。試合前に「本塁打を打つ」と約束。熊本にいる妻からも「この試合に勝てば見に行くかも」と言われていたことを明かし「張り切っちゃいました」と笑顔を見せる。
また、日本通運に所属する弟・誠也内野手の活躍も刺激になった。4日のENEOSとの2回戦で本塁打を放ち、兄弟アベックアーチを達成していた。弟の試合をテレビで観戦し「鳥肌がたった。すごく嬉しかった」と喜んだ。
ただ、日本通運はENEOSに敗れ、2回戦で姿を消した。Honda熊本は、8日にセガサミーと準決勝を戦う。娘に最高のプレゼントを渡したが、目指すところは日本一。愛する家族、そして敗れてしまった弟の思いも背負い、10年目のベテランは打席に立ち続ける。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)