日本ハム新庄監督、譲り受けた衣装で恩師・野村氏と笑顔の別れ 「約束は守った」
「お直しにめちゃめちゃ時間がかかりました」
2020年2月11日に84歳で亡くなった野村克也氏を「しのぶ会」が11日、神宮球場で開かれ、数多くの教え子、関係者が参列。阪神時代に野村監督の下で2年間プレーした、日本ハムのビッグボスこと新庄剛志監督の姿もあった。
新庄監督がこの日、着ていたのは、野村氏から譲り受けたグレーのジャケットと黒のタートルネックだった。阪神監督就任直後のノムさんから「おい、新庄。どこの洋服がいいんだ?」と聞かれた際、「ヴェルサーチですよ!」と即答。その後、野村氏はヴェルサーチを亡くなるまで愛用した。
新庄監督は「それから何十年もして、このヴェルサーチのタートルネックと洋服を頂いたのですが、サイズが違い過ぎて、大きくて短かった。それでも、この会にどうしても着たくて、お直しにめちゃめちゃ時間がかかりました」と明かした。そして、「野村さんは子どもみたいに食べ物をよくこぼす。ほら、ここに中華(料理のソース)のあとがあるんですよ。これも思い出!」と振り返った。
自身の監督就任は「野村さんが聞いたらびっくりすると思う」。だからこそ「新庄剛志らしく、野村さんに教わったことをやりながら、違う形の監督像を作っていきたい」と言う。
野村氏が亡くなる1年ほど前、最後に会った時に「俺がこの世を去る時、お前だけは笑顔で見送ってくれ」と言われたそうで、「約束は守った」とあえて満面に笑みを浮かべた。野村氏の語り口調をまねながらの会見に、恩師を慕う心情がにじんでいた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)