速読は「野球のトレーニングにもなる」 東大野球部前監督が勧める理由とは

監督在任中に言い続けた「勝ちたければ、飯を食え」

 東大野球部には学生アナリストもいますし、データ分析はお手の物ではあるんです。以前、慶大がトラッキングシステム「ラプソード」で計測した投球の回転数のデータをもとに投手陣を整備したことが話題になりましたが、東大でもそういう知識はあるんです。

 プロ野球のドラフトにかかるレベルが2000回転、六大学の平均が1800回転、東大の平均は1500回転というようなデータは持っている。でも多くの部員が回転数を上げるための筋力がない状態で入学してくるので、分かっていてもそこに行きつかないんですね。

 私の監督在任中は「勝ちたければ、飯を食え」と言い続けました。食え、食えとあまりに言うとパワハラになりかねないので、ざっくり1日4000~5000キロカロリー摂るようにとだけ伝えました。そうすると皆、考えることは好きなので、いつ何をどのくらい食べなきゃならないか、いろいろとアイデアが出てくる。プロテインなんかは化学式まで書いて、夜飲むにはこっち、練習前はこっちなんてやっていましたよ。

 彼らは筋力を鍛えたらボールが飛ぶようになるとか、仕組みを理解する能力は高い。限られた時間で何を優先してやるべきかを見極める能力も高い。目標が定まったら、そこに向かって努力を続ける才能がある。しかも一時的に頑張るのではなくて、モチベーションを上げたら保ち続けることができる。これは受験勉強をしてきた効果であって、東大野球部の強みといえるでしょうね。

○浜田一志(はまだ・かずし)1964年9月11日生まれ、高知県出身。土佐高校で野球部に所属し、東大理科二類に現役合格。野球部に入部し、4年時に主将を務めた。東大工学系大学院を修了後、会社員を経て1994年に文武両道を目指す学習塾Ai西武学院を開業。2013年から2019年まで東大野球部監督を務めた。

(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)

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