大阪桐蔭と開成にある共通点とは? 東大前監督が力説する「身近なお手本」の重要性

桑田真澄氏の東大コーチ招聘は「部員の手本になってほしかったから」

 よく、子どもたちがプロ野球選手の物真似をしますよね。あれはすごく大事なことです。運動センスというのは、人の動きを真似するセンスでもあるからです。

 子どもたちが大谷翔平投手の真似をして、面白がってやるんだけど、どうもうまくいかない。そこでなんでだろうと思う。そりゃそうですよね、体のパワーが全然違うんだから。それでいっぱいご飯を食べて体を大きくしなくちゃいけないんだ、筋肉をつけなきゃいけないんだということも分かるわけです。

 だから指導者がすべきは、身近なお手本を用意すること。子どもたちにとって一番、身近なお手本は先生やコーチなので、指導者自身がお手本になってもいいし、いなければ外から連れてくればいい。私が東大監督時に桑田真澄さんらプロ野球出身者にコーチをお願いしたのも、部員の身近なお手本になってほしかったからです。

 今はインターネットを調べれば動画サイトでお手本が出てきますけど、やっぱり実際に近くに存在した方がいいですよ。その方が「お手本」はこんなに努力するんだとか、「お手本」でも疲れたらサボるんだとか、良いところも悪いところもいろいろと分かりますからね。

○プロフィール
浜田一志(はまだ・かずし)1964年9月11日生まれ、高知県出身。土佐高校で野球部に所属し、東大理科二類に現役合格。野球部に入部し、4年時に主将を務めた。1989年に東大工学系大学院を修了し、新日鉄に入社。1994年に文武両道を目指す「部活をやっている子専門の学習塾」としてAi西武学院を開業。2008年に東大野球部スカウティング事務局を立ち上げ、2013年から2019年まで東大野球部監督を務めた。現在は文武両道で東大合格を目指す高校生に自身の学習メソッドを伝える支援活動を行っているほか、全国各地の中学・高校での講演活動も精力的に行っている。

(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)

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