大切なのは「自分で答えを探す癖」 小4スラッガーを育てた“和太鼓”奏者の父の教え

野球と和太鼓の練習が重なった日に…「寂しくも、嬉しくもあった」

 自身の和太鼓での経験があったからこそ、大和くんにも自ら考え、選択するクセを身につけさせた。最初は「なぜ返事をしないといけないのか」「ゴミ箱にゴミを投げ入れる遊びはどうしたら入るのか」といった些細なことから始めた。

「考えて選択した成功体験の積み重ねが大事だと思うんです」

 大和くんの成長を感じた出来事もあった。3年生でチームに入団し、打撃や守備は引けを取らなかったが、チームプレーが分からず、「二塁ベースを駆け抜けてしまうような状況」だった。「本人もそれが悔しかったんでしょうね……。自らルールを覚えるために行動に移したんです」。

 とった行動はチームの先輩の横で同じ声出しをすること。「先輩の声出しを聞いて覚えようというのがありました」。甲子園やプロ野球のテレビ中継を見て、自分がベンチにいるように声出しする練習も行った。見る見るうちにルールを覚えて、チームになじんでいったという。

 寂しさを覚えた出来事もある。昨年、野球の練習と和太鼓の本番が重なった日があった。その時に大和くんが選んだのは野球だった。「私の父も師匠で和太鼓一家。それを自分の意思ではねのけたんです。寂しくもあり、嬉しくもありましたね」。

 野球と和太鼓の“二刀流”に励む大和君くんの将来の夢はメジャーリーガー。自らの意思で進む我が子を公之さんはこれからも見守っていく。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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