イチロー氏が女子高生に授けた“意外な”教え 「一番ダメなのは平常心を保とうと…」

様々な場面をくぐり抜けてきたからこその境地…「平常心は無理」

 百戦錬磨のイチロー氏ですら「断トツに怖かった」と振り返る打席。無数の視線が突き刺さる中でしっかり結果を出せたのもまずは、自分のリズムを守りきったからだ。

「そこで覚悟決めて、これは『僕の打席』にすると。そこにいくまで、普段の動きしていた。自分の普段やってるルーティンをやって、自分のペースになるかはなかなか、そうならないけど……。最終的に支えになったのは、それまで日本で7年、アメリカで8年、いろんな事を経験してきた。負けたこともたくさんある。でも苦しい場面も乗り越えたこともたくさんある。困難、難しい状態で臨んできたので、その自信、自信じゃないか。“誇り”が支えになった。もちろんあれ以上はないが、こういう場面に立ち向かってきたし、立ち向かってきた自信、それが支えになった」

 イチロー氏と林昌勇の勝負は8球。このうちイチロー氏が状況が変わった1球として振り返るのがカウント1-2からの5球目、低めのスライダーをファウルにしたシーンだ。

「追い込まれてからのスライダーをファウルにした時。『これは僕の勝ちだ』と思ったファウルでしたね。だからやっぱり目の前の状況を受け止めて向かっていく、その姿勢がなかったら、向かっていく自分が作れない。それが重ねられない。難しいけど向かっていくしかないと思う」

 どんな困難な状況でも、立ち向かい続けることで自信や誇りが生まれる。極限の場面ではそれが前へ向かうための原動力になる。数々の名場面を生んできたイチロー氏ならではのアドバイス。そして最後に残したのは意外な言葉だった。

「一番、ダメなのは平常心を保とうとすること。無理だから、無理です。保ちたいのは分かるけど、無理です。技術的にもし、平常心に近い形を取れたとしても、それで生まれた結果には自信は伴わない。自信を獲得するには、難しい状況で向かっていくしかないんだよね。リラックスして、練習の時の自分に近い状態(を作る)という考え方はとても危険、やりがちだけどね。勝負の世界で生きるなら、そういう姿勢は大事なんじゃないかな」

(Full-Count編集部)

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