日本人初のMLB監督に? “プロ経験”なしでマイナー指揮、三好貴士氏の異色キャリア
米球界での日本人指導者の少なさを嘆く「優秀な指導者がいるのに」
31歳の時、米独立リーグのビクトリア・シールズからコーチ就任の話が舞い込み、指導者の道へ。独立リーグ5球団で腕を磨き、2016年と2017年には、ソノマ・ストンパーズの監督としてリーグ最優秀監督賞に輝いた。2018年にツインズ傘下エリザベストンのコーチとして採用され、2020年からはチームの指揮官を任されるに至った。
「やはりコーチ留学では見えない、裸一貫で飛び込んで初めてわかる厳しさがあります」と語る三好さん。MLB傘下には現在、ほかに2人のコーチが存在する。今季までサンフランシスコ・ジャイアンツのブルペン捕手を務め、来季からアシスタントコーチに就任することが決まった植松泰良さんで、こちらは日本人初のメジャー常勤コーチとなった。もう1人は、今季ドジャース傘下のルーキーリーグでコーチを務めた石橋史匡さんだ。
「これだけの野球人口があって、優秀な指導者がいるのに、3人だけというのは比率的におかしいと思います。もちろん語学の問題もあるでしょうが、そんなものは飛び越えていきたい」と三好さんは言う。「そもそもアジア人の指導者が少ない。僕らが何か正論を言っても、多数決の論理でかき消されてしまうことがある」と歯がゆい思いを噛み締めている。
だからこそ、三好さんのような人物が実績を積み重ね、やがてメジャーリーグで指揮を振るえば、MLBで日本人に対する見方を大きく覆すことができるはずだ。メジャーリーグで日本人監督を“普通のこと”にするための戦いを続けている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)