高校野球で活躍するために「教え過ぎない」 強豪・武蔵府中シニアの方針とは?

恩師である拓大紅陵時代の小枝守氏の言葉を胸に秘める

 細かい技術まで教え込まれた選手には変な“クセ”が付いてしまう可能性があるからだった。進学した先の指導者の教えと、その“クセ”が反していたら一番不幸なのは選手だ。監督のイメージに合わなければ、出場機会にも影響がでてきてしまう。そういう教え子を何人も見てきた。

「場合によっては、最初から上手な子はあまり使わない指導者さんもいます。何十年やっているうちにそういうことが分かりました。基本に忠実というか、そういう子を送ってあげた先の高校の“色”に染まることの方が、選手にとっては幸せなんじゃないかなと思っています」

 小枝監督の言葉は指導者になってからも生かされていた。特に捕手の子に、独特のクセが出てしまうと聞いたことがある。

「配球のサインを自ら出す(中学生を指導する)監督さんがいます。打たれても、捕手自身がその原因をわかるようにするため、私が(捕手へ)サインを出すことは少ないんですけど、そういうのが色濃く(クセとして高校に行っても)出てしまうそうです」

 他にも守備での細かな手の使い方から、足の踏み出し方まで指導をしているチームもある。打撃に関しても細かく指示を出すチームもある。否定はしないが、武蔵府中は極端な指導はせず、高校で野球を続けても困らないようなレベルまで上げようと努めている。

「打撃指導でもレベルスイングを基本にやっていこうと思っています。ボールの軌道にバットを合わすことで三振が減りますよね。子どもを指導する第1段階としてはバットに当てることが大事。それを基本としています。何も教えなくたって、たくさん打つ機会を与えてあげられれば、自分で気づくことができる。ちょっとしたアドバイスはしますよ。『こうしろ』『ああしろ』とかまで細かいことは言いません」

細かく求めるのは“報告”のみ、背後に隠された意図とは…

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