2軍首脳陣から「我慢してくれ」 戦力外の4か月前から始めた“プロ人生の終活”
「出会ってきた人たちの存在が大きい」受けた恩を後輩たちへ
チームメートやスタッフ、関係者……。「この世界に入ってから、出会ってきた人たちの存在が、僕の中では大きいです」。自らが受けた数多の恩を、少しでも還元したい。先輩たちから教わってきた分、後輩たちに伝えてあげることが最後の責務であるとも思った。
同じ外野手の伊藤康祐や岡林勇希、三好大倫。さらに高卒1年目だった内野手の土田龍空ら、幸いにも慕ってくれる後輩たちは多かった。「みんな『エンさん、エンさん』って頼ってくれることも多かったので、たくさん失敗してたくさん怪我もした僕の経験を少しでも伝えられたらなと思いました」。普段以上に会話する機会を持ち、相談も受けた。
現役のユニホームにしがみつくことが、プロとしては正解かもしれない。ただ、終わり方は人それぞれ。球団代表から戦力外を告げられた時も「すっきりしていました」。12球団合同トライアウトも受けず、選手としての幕を引いた。
「このタイミングで戦力外になったのも、何か意味があるんだと思ってやっていきます」。何事も引きずらない快活さが性分。社会人としては、まだ32歳。やり切ったプロ野球人生に区切りをつけ、新たな道を歩んでいく。
(小西亮 / Ryo Konishi)