大人の「理屈」は子どもの「不快」になる危険性 見直したい少年野球の練習方法

MTXアカデミー・木村匡宏氏【写真:荒川祐史】
MTXアカデミー・木村匡宏氏【写真:荒川祐史】

少年野球の練習方法に疑問、多くのプロ野球選手を指導する木村匡宏氏が提唱

 小学生からプロ野球選手まで、パフォーマンスコーディネーターとして選手を指導するMTXアカデミー・木村匡宏氏のもとには、指導を受けたいと全国から野球人がやってくる。そこで多くの悩みに耳を傾ける。保護者の関わり方、低学年の指導法、部員数の減少で起きている問題、受験……。聞くたびに「練習の仕方、まだまだ見直せます!」と思うことがある。

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 MTXアカデミーには小学校の低学年から子どもたちが野球を学びに来てくれています。公園でキャッチボールができないことや、部員が集まりにくくなっている悩みはよく聞きますが、個人の心の奥底に耳を傾けると「本当はもっと、自分からいろいろやりたいのに、野球をやらされている子が多いんじゃないかな」と感じることがあります。

 練習しにきてくれる子どもたちに「今日はどんな練習したいですか?」と質問すると、大人から「もっとこうしなさいって言われました」「ここがダメだって言われたので、それを直したいです」と指導者に指摘されたことだけを、直したいという子がとても多いんですね。

 いい環境、いい関係で、伸び伸びと野球ができている子は「今日はこんな練習をしたいです!」と自分からやりたいことを教えてくれます。たまに、せっかくアカデミーにまでいらして、僕と練習をしているのに、うしろから「ちゃんとできてないぞ!」「もっとこうしなさい!」と声を出さずにはいられない保護者には、「お父さん、そんなに練習を止めちゃうと下手になっちゃいますよ!」と静かに見守って頂くことを促します(笑)。

 指導者や、お父さんたちの気持ちもわかります。特に、低学年の子どもたちが、バットを振っても、なかなか当たってくれなかったり、キャッチボールをしようと思ったら、あっちにいったり、こっちにいったり、ボールをポロポロとこぼしたり……イライラが募るばかりです。

 ただ、ちょっと立ち止まり、よく考えてみると、野球は、非常に高度なスキルを求められるスポーツなんです。

説明を聞いてくれない子は理解力がないのではない

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