台湾プロ野球で“根尾、藤原世代”が台頭 2年連続MVPは日本の独立リーグ出身投手
進む若返り…ベストナインには根尾、藤原の日本代表下したメンバーがズラリ
また、新人王は57試合に登板し4勝0敗12セーブ、13ホールド、防御率1.80を記録した20歳の右腕、曽峻岳(富邦ガーディアンズ)が受賞した。高校時代には2019年U-18W杯の代表候補となるも落選。高校3年生ではスランプに陥り、ドラフトでは7位指名と即戦力と評価されてのプロ入りではなかった。
しかし、オープン戦で150キロ以上の速球を連発、猛アピールし開幕1軍入りを果たすと、勝ちパターンの中継ぎから、セットアッパー、さらに本来のクローザー陳鴻文の先発転向後は抑えを務めた。最速154キロの直球のみに頼らず、初夏のリーグ休止期間にカーブやフォークを磨いた効果もあり、シーズンを通じて結果を残した。
1軍初登板で、11個のアウトを全て三振で奪う鮮烈なデビューを果たした21歳の右腕、徐若熙(味全ドラゴンズ)は、台湾人投手トップ、リーグ5位のWAR2.92を残した。インパクトでは間違いなくNO.1だったが、打線の援護を得られず3勝7敗に終わり、得票数は3位に留まった。
ベストナインとゴールデングラブ賞をW受賞し、名実ともにポジションを代表する選手と認められたのは捕手の林岱安(統一)、二塁手の林靖凱(統一)、三塁手の王威晨(中信)、遊撃手の江坤宇(中信)、そして新人王でも得票数2位となった外野手の郭天信(味全)の5選手だった。
このうち、王威晨は初の打撃タイトルとなる最多安打も獲得した。8月に中信の前身・兄弟エレファンツのスター選手で、監督も務めた父の王光輝氏が死去。精神的にタフなシーズンだったが、主将として攻守でチームを引っ張った。コロナ禍で中止となった球宴の代わりに実施された人気投票でも1位に輝いた。大学時代の怪我の影響もあり、ドラフト13位という下位指名からリーグを代表するスター選手となった。
林靖凱、江坤宇、郭天信は2018年のU-18アジア選手権(宮崎)で、根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)ら甲子園のスター軍団を擁した日本に勝利した際のメンバー。当時も二遊間を組んでいた林靖凱と江坤宇は堅守が売りで、台湾野球に新たな風を吹き込んでいる。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)