柳田や千賀にも共通する“一流選手の素養” 元鷹ドラ1が考える人間力の重要性

元ソフトバンク・江川智晃氏【写真:福谷佑介】
元ソフトバンク・江川智晃氏【写真:福谷佑介】

柳田や千賀ら一流選手を知る江川智晃さんが考える素養とは…

 2004年のドラフト会議で当時のダイエーホークスからドラフト1位で指名された江川智晃氏。2019年シーズンで現役を引退し、1年間のスコアラー勤務を経て、現在は地元の三重県伊勢市に戻り「まるとも荒木田商店」で精肉業を営む傍ら、地元の小学生たちに野球を教えている。

 伊勢市立二見中3年時には全日本軟式野球大会で優勝し、日本一に。他県の野球強豪校からの誘いもあったが、仲間と野球をするために地元の宇治山田商高に進学した。高校時代は1年生から投手と外野手として活躍し、2年夏には甲子園に出場。高校通算33本塁打を放つ一方、投手としても最速144キロをマークする好投手として評価されていた。

 そんな江川氏には、現在も小学生たちを教える上で大切にしていることがある。それは、仲間を想う心、周囲を思いやる心。江川氏は「野球は1人じゃできないですから。ミスの起こるスポーツですし、打っても7割は失敗、エラーも出るし、投手は四球を出すもの。それをみんなでカバーし合っていくスポーツだと思うので、本当にみんなで助け合ってやってほしいです」と言う。

 その心は野球だけでなく、将来、社会に出ていった時にも通ずるものだと痛感しているという。2021年から家業を継ぎ、球界から離れた江川氏は「社会に出てからすごく感じるようになりました。本当に何事も1人じゃできないよ、と。みんなのサポートのおかげで野球できているのだから助け合ってほしいです」と、野球から学んだ“助け合う”や“支え合う”ことの大切さを、野球から離れた今、強く感じている。

 ソフトバンク時代には数々の一流選手たちとプレーしてきた。今でも後輩である柳田悠岐外野手や中村晃外野手、千賀滉大投手ら多くの選手たちと交流がある。だからこそ「やっぱり活躍している人には人格者が多いです。いろんな責任もあって、そういう風になっていくんですね。自分主体ではなくて、相手のことを考えれば、周りが見えてくる。野球をしていたら、仲間がエラーとかをしたときに声を一言かけてあげる。それだけでも、その選手はまた次、一歩前に踏み出せる。そういうふうな声かけをしていくことって素敵だな、すごくいいなと思います」と言う。

「技術的なことは、人それぞれで体つきも違うし、正解がすごくいっぱいあるんです。なので、技術的なことはあまり言えないですが、何を一番大事にしてほしいかというと、人間力を磨いてほしいですね」。野球の技術だけでなく、大切なことが“人間力”。プロ野球選手になるためには人としての素養を磨くことも大切なのだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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