新庄監督が早くも見せた“指揮官の適性” 2軍選手の目の色変えた「魔法の言葉」
「ここをPayPayドームだと思え」2軍にいる新人も開幕を意識
新庄監督は初めて指揮官として迎えた今キャンプ、初日から苦言を残している。「練習のための練習をやっている。練習は試合のようにやってほしい」とメディアを通じての“伝言”の他に、選手たちの目の色を変えるための言葉もかけていた。1日にもブルペン入りした長谷川威は「ここをPayPayドームだと思え、と言われました」と振り返る。言うまでもなく、3月25日にソフトバンクと今季の開幕戦を戦う球場だ。
長谷川威はこの言葉を受けて、はっきりと取り組みが変わったという。左のサイドスローという希少価値を生かし、その舞台へたどり着くにはどうしたらいいのかを考えるようになった。「試合で投げているところを想像しろということだと解釈しました。左の強打者・柳田選手とかをイメージしながらのピッチングを心がけるようになりました」と変化を口にする。今季から投打二刀流に挑む上原健太投手も、同じ言葉をかけられている。
常に実戦を意識した練習を行うと、どうなるのか。長谷川威は「前はブルペンでは、いい球がいったかどうかという単純な考えでした。でも打者が立っていると思って投げると、失投してしまったら次はちゃんとコースに投げようとか、考えるようになります」と言う。
2日目を迎えた武井壮さんのレッスンも、2軍キャンプの選手たちに大きな刺激を与えた。「重いものをいかに素早く動かすか」というメソッドを吸収し、より小さな力で同じ出力を出せるようになれば、故障のリスクは下がり選手寿命も延びる。長谷川威も「歩き方の話が衝撃でした。見直すことで移動する時も何万歩もトレーニングしていることになると。もう常に意識しています」と日常生活から取り入れていくつもりだ。
キャンプ3日目、新庄監督は取材対応なく2軍キャンプ地を去った。ただ早くも見られた選手たちの変化に、心は笑っていたのではないだろうか。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)