日本初“少年野球チームを大学が後援” グランドで不思議な光景…監督は陸上経験者
元ロッテの里崎智也氏が会長、荻野忠寛氏が副会長を務める
大学は帝京大でプレーした後、一般企業に就職し、2011年から帝京大のコーチを3年間経験。その後、職員として大学へ戻り、出向先の公益社団法人で地域貢献を学んだ。「今後、人口減少や少子化がさらに進んでいく。大学や地域に何が必要か考え、出向先の専務に相談した時に、思い浮かんだのが少年野球チームだったんです」。
帝京大では、大山高准教授がマルチスポーツの研究に取り組んでいる。ノウハウもあり、人工芝のグラウンドなど設備も整っている。マルチスポーツを取り入れた野球チームを大学だったら作れるのではないかと考えた。
当初から全ての人が受け入れてくれるわけではなかった。「結果が出るかとか、怪我をさせたら誰が責任を取るんだとか、立ち上げに否定的な人もいました」。何度も説得し、1年半かけて2020年にチームを発足させた。
大学の後援サポートは様々なメリットがあった。「間違った指導は極力排除できますから保護者も安心ですし、次世代を担う子どもやその保護者に帝京大学を知ってもらうきっかけになってくれるといいですよね」。帝京大は、ラグビーや駅伝、空手、柔道などトップレベルの競技があり、他のスポーツを知ることができるのもメリットだ。
この考えに共感したのが、元ロッテの里崎智也氏、荻野忠寛氏だ。里崎氏は「スポーツの1つとして野球を好きであることが大事」とマルチスポーツを推奨。現在は里崎氏が会長、荻野氏が副会長を務め、野球教室などで子どもたちと交流している。創部してまだ2年足らずだが、徐々に部員も増えてきている。競技の垣根を越えて子どもたちの可能性を広げていく。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)
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