ロックアウトの影響で起きた「重大な懸念事項」 MLBで薬物検査がストップ
直近5年で計47973件実施した検査のうち、7327件がオフシーズン
大リーグ機構と選手会の交渉がまとまらず、メジャーリーグで依然として続くロックアウト。影響は契約関係だけでなく、多方面に及んでいる。AP通信によると、通常はオフの期間も実施されている薬物検査がストップ。フェアプレーの観点から懸念の声が上がっている。
AP通信は、共同薬物プログラムの内情に詳しい2人からの情報として報道。ロックアウトとともに薬物協定の期限が切れたため、約20年間で初めて選手に対するステロイド検査が止まっている。MLBでは2017~2021年に計47973件の検査が実施され、そのうちの7327件はオフシーズンに行わたものだという。
記事では米アンチ・ドーピング機構のCEO、トラビス・タイガート氏が「フェアプレーを重んじる全ての人にとって、これは重大な懸念事項だ」と訴えているコメントも紹介。同氏によると、テストステロンのゼリーや経口カプセルを使えば、数週間で体から(テストで検出される成分を)出すことができるという。現時点では使用しても発覚しない“歯止め”のない状況だ。
メジャー史では重くのしかかってきた薬物問題。今年1月には、薬物使用が疑われてきたバリー・ボンズ氏やロジャー・クレメンス氏が候補最終年でも殿堂入りを果たせなかった。嫌悪感が強まる中、問われるのは選手たちの自制。何よりロックアウトが明け、通常のシーズンに戻ることが求められる。
(Full-Count編集部=AP)