ついにキャンプ延期が現実に… “経済効果”が消えた自治体は激怒、米紙も痛烈批判
347億円かけて施設建設も…このままでは今春の経済効果なし
労使交渉のもつれからロックアウトの続くメジャーリーグでは、ついにキャンプインの延期が現実となった。本来ならバッテリー組が集合しているはずの15日(日本時間16日)になっても、米アリゾナ州やフロリダ州のキャンプ地に選手の姿はない。米大手紙ロサンゼルス・タイムズはこの現実を「オーナー陣の仕業」と非難、経済的損失を被るキャンプ地自治体の怒りの声を伝えている。
「オーナー陣のロックアウトが、春季トレーニングを危機に晒している」と題したこの記事では、新型コロナウイルスの影響でキャンプが短縮になった2020年、収容人数の1/4しかいれるのことのできなかった2021年を振り返り「パンデミックは誰の責任でもない」とした。続けて「ロックアウトは違う。これは神の仕業ではなく、オーナー陣による仕業だ」と痛烈に批判している。
先週の交渉でもオーナー側、選手側は妥協点を見出すことができず、ついにキャンプ延期が現実に。記事は「来週から始まる予定だったカクタス・リーグ(オープン戦)も実現しない」としている。
これに怒りをあらわにしているのが、キャンプを迎える自治体だ。ドジャースとホワイトソックスのキャンプ地を抱えるアリゾナ州グレンデール市のケビン・フェルプス市長は「私は非常に怒っています」と同紙にコメントした。「キャメルバック・ランチ」と呼ばれるキャンプ施設の建設費、資金調達費、維持費は市が支出しており、記事によると総額3億ドル(約347億円)に及ぶという。一方で球団側はそれぞれ、使用料として年間1ドルを負担しているだけだ。
なぜ自治体がこのような支出をするかといえば、ファンがホテルやレストランで消費する“経済効果”に期待しているからだ。2020年の研究によると、キャンプ地を訪れたドジャースファンは1日あたり平均439ドル(約5万800円)を使ったとされている。
グレンデール市のフェルプス市長は「キャンプのサポートにかなりの投資をしてきた私たちのような市に起こる損害を認識しているにもかかわらず、MLBからは沈黙が続いています。これでは当然『MLBをパートナーと見ていていいのか』と思わざるを得ません。過去3年を見る限り、私にはそうは思えない」。記事によれば、キャンプ地の経済的損失について支援するかどうか、MLB機構側は口をつぐんでいるという。ファン不在の対立は、いつまで続くのか。
(Full-Count編集部)