打率「最下位」からの逆襲…楽天・辰己が定位置死守へ“守備の人”脱却の秘策とは

楽天・辰己涼介【写真:荒川祐史】
楽天・辰己涼介【写真:荒川祐史】

ヤクルトとの練習試合で右中間へ満塁弾

 楽天の辰己涼介外野手が17日、キャンプ地の沖縄・金武町で行われたヤクルトとの練習試合で右中間へ満塁本塁打を放った。プロ3年目の昨季は中堅のレギュラーを獲得し、ゴールデングラブ賞も初受賞したが、打撃は課題のままだ。今春は定位置争いが激化する中、生き残りをかけて新打法に取り組んでいる。

 辰己は1点リードの3回無死満塁、ヤクルト2番手・金久保の高めのストレートをとらえ、右中間芝生席へ飛び込むグランドスラムとした。「高めの球を自分のポイントできれいに打てた。現時点で思い描いている打撃ができた」と自画自賛だ。

 もともと抜群の身体能力を誇り、昨季は快足を生かした広い守備範囲と強肩でゴールデングラブ賞に輝いた。打撃の方もオープン戦では12球団2位、同僚の島内に続く打率.385をマーク。「1番・中堅」で出場した日本ハム戦との開幕戦では、上沢から逆方向の左翼へ初回先頭打者弾を放った。ここまでは良かったが、打率はみるみるうちに下降。初めて規定打席こそクリアしたものの、パ・リーグの規定打席到達者29人中、最下位の.225に終わった。

 オフから渡辺直人打撃コーチのアドバイスを受けながら、打撃改造に取り組んでいる。「上半身は“脱力”、下半身に力を入れて体を開かず、自分のポイントで打てるように意識している」と説明する。石井一久監督も「いい取り組みをしている。試行錯誤の中で、思ったようにできないこともあるだろうが、変化を怖がらずにトライしてくれればいい」とうなずいた。

 楽天の外野陣は昨季、左翼・島内、中堅・辰己、右翼・岡島でほぼ不動だった。今年はそこへ、海外FA権を取得しながら日本ハムから自由契約となった西川が加入。コロナ禍による入国制限で来日できていない新外国人のマルモレホス、この日の6回に左中間へソロを放った田中和、小郷らを含め、レギュラー争いが激化している。石井監督も「枠はそれほど多くない。厳しい競争になる」と競争をあおっている。

 辰己も決して油断できない立場だが、「やるべきことをやっているので、自分の力を出せれば大丈夫だと思う」と自分に言い聞かせるように話した。現在は同じ兵庫出身で、ドラフト2位入団の安田が長打力を売り物に猛アピール中で「僕とはモノが違う。スター街道を歩んでいってほしい」と持ち上げるものの、本音は違うはず。2018年のドラフト1位も負けてはいられない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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