新庄監督が命じた“いきなり転向”で話題 日本球界の現役アンダースロー投手は?
パ・リーグ他球団には計3人が在籍、過去には284勝投手も
あまりに突然すぎる転向で話題をさらった。日本ハムの3年目、鈴木健矢投手が19日のロッテとの練習試合(名護)にリリーフ登板。15日の練習中に転向を決めたという「アンダースロー」を披露し、1回を無安打無失点に抑えた。打者からボールが見やすくなっていることに気づいた新庄剛志監督の提案が、決断のきっかけになったという。今やすっかり希少となった下手投げ投手が増えることになりそうだ。ここでは現役の“サブマリン”をチェックしていきたい。
最も実績があるのは、ソフトバンクの高橋礼投手だろう。専大時代から注目され、2017年ドラフト2位で入団。1年目から12試合に登板すると、2年目の2019年には12勝6敗と花開いた。オフのプレミア12では日本代表入りし、金メダルに貢献した。身長188センチという恵まれた体を沈ませ、球威のあるボールを投げる。昨季は11試合で1勝1敗に終わったものの、復調が期待される。
西武には與座海人投手がいる。2017年ドラフト5位で、岐阜経済大から入団。1年目のオフに右肘のトミー・ジョン手術を受けたために育成契約となったものの、翌年オフには支配下に復帰。2020年には1軍デビューを果たした。同年は2勝4敗、昨季はリリーフにも取り組み15試合登板で1勝1敗1ホールド、防御率2.79の成績を残した。
昨季優勝したオリックスの投手陣に厚みを加える存在として期待されるのが、2年目の中川颯投手だ。昨季は1軍では1試合だけの登板に終わったものの、2軍では41試合で2勝2敗1セーブ、防御率1.13と素晴らしい成績を残している。
過去にはアンダースローの大投手がいた。阪急のエースとして君臨した山田久志は通算284勝、同時代に日本ハムや西武で投げた高橋直樹も169勝を挙げている。2000年代以降は渡辺俊介(ロッテ)が通算87勝、国際大会で強さを発揮し、2度のWBC優勝にも貢献している。現役続行を目指して今もトレーニングを続ける牧田和久(元楽天)もいる。
鈴木はこれまで、サイドスローからの力強い直球が特徴の右腕だった。それが下から投げた19日の試合では、130キロ台のボールでも三振を奪うことができた。緩急を使ったボールで開眼することはあるのか。思うような成績を残せていなかった選手の“再生”なるかという点でも、注目を集めそうだ。