全国的にも珍しいシニアとボーイズの連携 硬式野球発展へ川崎市が示す“変革”
球場使用は平等に割り当て、シニアもボーイズも融通利かせて日時を交換
野球場の使用は現在、3か月に1回開く調整会議でチームに偏りが出ないように日時を割り当てている。平等を保ちながら、シニアの大会がある時期はボーイズのチームが球場の使用を譲り、ボーイズのチームが急きょ球場を使いたくなった時はシニアのチームが他の使用日と交換するなど、互いに融通を利かせている。球場の整備も協力している。保護者はシニアもボーイズも関係なく、泥が詰まった側溝を掃除したり、芝生を刈ったり、土を入れたりして、子どもたちのためにグラウンドのコンディションを維持している。
昨秋に開催した硬式野球の体験会は、連携の象徴する出来事だった。川崎市に7つある区のうち、主に3つの区に住む小学6年生を対象にした体験会には、予想を大きく超える156人が集まった。保護者には受付やノックなどの役割が割り振られたが、どの保護者も自分の子どもが所属しているチーム名を伏せていたという。目的はチームへの勧誘ではなく、硬式野球の普及だからだ。
体験会を主催した川崎硬式野球協議会の中嶌事務局長は「川崎で硬式野球をする子どもを増やしたいという思いはシニアもボーイズも同じです。自分たちのチームだけが生き残っても、川崎市全体の硬式野球が衰退すれば、練習や試合場所は別の目的で使われてしまいます」と力を込める。3つの区の小学6年生だけでも、これだけ多くの子どもたちが硬式野球に興味を持っている。協議会は今年、さらに規模を大きくして体験会を開く計画を進めている。
野球をする子どもが減っている。首都圏には野球をする場所がない。しかし、現状を嘆く前にできることはある。川崎市のシニアとボーイズの連携は他の地域でも参考になるだろう。これまでの当たり前を打破することで、新たな可能性は生まれる。
(間淳 / Jun Aida)
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