ポニーリーグがベトナムでの野球普及を支援 “リメイク”グラブに込めた2つの思い

ベトナムの野球人口は主に12~16歳、昨年ソフトボール協会が設立された

 ベトナムの野球はインターナショナルスクールから始まっている。日本人や米国人が現地で野球を行うことで広まっていった。2021年にはソフトボール協会が設立されるなど、競技に対する理解が深まっている。しかし、課題がひとつあった。用具がないことだ。ナム大使は「野球は(ベトナムでは)新しいスポーツで、(用具の)市場ができていない。グラブを買うことができず、チームメートでシェアして使っている」と現状を明かす。現地の選手は12歳から16歳がほとんどを占めていることもあり、広澤理事長は「子どもたちは宝。野球に国境はない」と用具贈呈を決めた。

 この取り組みは、日本の協会所属選手がSDGsを学ぶ機会にもなっている。贈呈されるグラブは、市原ポニー(千葉・市原市)と江東ライオンズ(東京・江東区)の選手たちが自ら使用したグラブを大会後や練習時間を削って一度解体し、ほつれている部分を修理し、リメイクしたもの。約1か月かけて300個をそろえた。新品のような輝きを取り戻し、広澤理事長も「こんなにきれいになるのか」と驚き、用具の大切さに気付かされたという。

 グラブの提供は、きっかけに過ぎない。広澤理事長も「まだまだ時間はかかる」と見ている。今後は、野球用品の寄贈だけでなく、2023年に日本で開催予定の「ポニーアジアパシフィックトーナメント」へのベトナム選手の招待、コーチクリニック、審判クリニックを実施し、現地で野球指導にもあたっていくことも同時に発表され、野球を通じた国際交流を図る。

 将来の夢は、ベトナムでの国際大会の開催。ナム大使も「夢はベトナムに野球場ができること」と普及を願う。ポニー独自の取り組みで国境を越えた野球発展、選手の育成に取り組んでいく。

【実際の写真】まるで新品のよう… 選手自ら作り直した“リメイク”グラブ

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY