台湾に新球団誕生、愛称は「ホークス」? 親会社は有数の大企業、待望の6球団制へ
日本企業が球団経営に参画する“噂”、クリアすべき課題も
注目の第6の球団ということで、台湾の各メディアは監督、コーチやGMの候補、目玉となる大物選手の獲得計画、世界的な日本企業による株式の取得やネーミングライツ契約の可能性など、さまざまな噂を報じている。2日の会見で、台鋼からこれらの報道に対する明確な回答はなかった。だが、「企画案」提出前に、監督やGMの人選が明らかにされるという説明がなされた他、海外企業の球団経営参画への検討についても前向きな姿勢は示された。噂される通算最多勝監督の監督就任や、奇しくも同じ「ホークス」球団をもつ“某大手企業”の参画は果たしてあるのだろうか、注目だ。
新球団誕生は明るい話題だが、クリアすべき課題や不安材料もある。その一つは高雄市の澄清湖球場を本拠地とする点だ。1999年に開設された澄清湖球場ではかつてTMLの試合が開催されていた他、CPBLでは2003年に第一金剛から球団を買収したLanewベアーズ(楽天モンキーズの前身)や義大ライノス(富邦ガーディアンズの前身)が本拠地とした。しかし、Lanewは2011年に北部の桃園に移転し、Lamigoモンキーズとなった。義大も2015年に主催全60試合を開催したものの、興行的には成功せず、2016年に富邦に身売り。2017年以降、澄清湖球場は本拠地として使用されていない。
慢性的な渋滞、アクセスの悪さも理由の一つと言われており、球場最寄り駅が設置される高雄メトロ・イエローラインの早期開通(2028年開通予定)が期待される。また、ファンを引きつけるための施設のグレードアップも求められる。台鋼には構想があるようだが、蔡コミッショナーは会見で早速、改修すべき点や収益増に関するアドバイスを行うなどしていた。台鋼が高雄市の澄清湖球場を選んだことで、台湾の直轄市6市全てにプロ野球チームの本拠地が置かれることとなる。高雄市政府も歓迎しており、バックアップを期待したいところだ。
このほか、他球団が金融、流通など直接消費者と接する企業であるのに対して、台鋼はBtoB企業であり、プロモーションの難しさを指摘する声や、既存のファンがいてOBで首脳陣を構成した味全とは異なり、ゼロからの新規参入となることへの困難さを憂慮する声もある。謝会長は、チームづくりやマーケティングについては、CPBLとも協力しながらより多くのスペシャリストを集め、専門家の意見を尊重していくとしている。実質的な舵取りを任せられた精鋭たちがどのようなチームをつくっていくのか。この点も注目といえそうだ。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)