台湾に新球団誕生、愛称は「ホークス」? 親会社は有数の大企業、待望の6球団制へ

「加盟企画案」が審査通過すれば正式決定、7月のドラフト会議参加へ

 台湾プロ野球では、新規参入に関する規定を定めている。参入企業は「意向書」の締結から35日以内に「加盟企画案」を提出し、CPBL、常務理事会による審査を通過することが求められている他、「加盟金」台湾元1億2000万元、「経営保証金」3億6000万元、「地方における野球振興基金」1億元、総額5億8000万元(約23億9100万円)をリーグに支払わなければならない。このうち「経営保証金」については、球団設立から満5年経った段階で返還される。球団経営をスタートし、2年目までにはこれら新規参入に必要となる5億8000万元に加え、球場など施設面の整備費用、ドラフト指名選手の契約金、プロモーション費用などを合わせ、約10億元(約41億1920万円)が必要とされる。

 台鋼の謝会長は「球団経営費用として、既に10億元を準備している」と強調。「経営保証金」は必ず受け取ることができるだろうと語る。蔡コミッショナーも、CPBLや各球団は、2019年に20年ぶりにリーグ復帰を果たしたものの一度脱退したため、新規参入の扱いで第5の球団となった「味全ドラゴンズ」をサポートしてきたと説明。「心配ない。第6の球団ができるだけ早く軌道に乗れるよう、今後、全力で協力していく」と約束した。

 常務理事会による審査を無事通過して台鋼が晴れて第6の球団となった場合、まず今年7月のドラフト会議に参加することになる。2019年の味全と同様であれば、ウェーバー式で開催されるドラフト会議で、台鋼には今年、来年と「いの一番」の指名権を与えられる。さらに今年は上位4巡目まで、来年は上位2巡目まで、1巡につき2人ずつ指名する権利が与えられる。

 シーズンオフの11月には、各球団(味全以外となる可能性)のプロテクト外の選手を指名する「エクスパンション・ドラフト」が行われ、経験ある選手を補強することになる。また、2年間は各球団の戦力外選手についても優先的に接触可能とされている。こうして構成されたメンバーによって2023年から2軍公式戦に参入、2024年から1軍公式戦に参入する。

 CPBLは1990年に4球団でスタート。2リーグ分裂後の1997年にはCPBL7チーム、新リーグのTMLが4チームと、最大で11チームまで増えた。しかし、レベル低下によるファン離れなどもあり、2003年に両リーグが合併。6チームで再スタートを切った。ところが、2008年に八百長問題による除名、解散で4チーム体制となった。ファンからは球団増を望む声がすぐに上がったが、球団の経営危機や身売りも相次いだこともあり、4チームの維持が精一杯だった。

 球団増の機運はなかなか高まらなかったものの、2013年WBCの快進撃による野球人気の復活、各球団の経営努力により、プロ野球のブランド価値は上昇。各球団の親会社が大企業へと変わっていったことも追い風となり、2019年に味全が社会貢献活動の一環で「復帰」し、5球団となった。ただ、球団数が奇数で日程が組みにくいという課題などがあり、できるだけ早い時期での新球団参入が期待されていた。

 台鋼の参入が正式決定すれば、2024年の1軍公式戦は16年ぶりに6チームで開催されることになる。蔡コミッショナーは会見で将来的な第7、第8の球団誕生への期待も滲ませたが、まずは6球団での成功が求められることになりそうだ。

日本企業が球団経営に参画する“噂”、クリアすべき課題も

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