“藤浪vs大谷”伝説の名勝負から10年…大阪桐蔭の元主将が明かす「剛腕撃破」の裏側
大谷が放った右翼中段に突き刺さる特大アーチ「何じゃこりゃ。本物だ」
そして迎えた運命の一戦は、豪快な一発で幕を開ける。2回の先頭・大谷が放った打球は右翼を守る水本さんの頭上を飛び越え、中段席に突き刺さる特大の先制ソロ。藤浪はマウンド上で舌を出し苦笑いし、大谷は白い歯を見せながらダイヤモンドを一周した。大会前から注目を集めたスーパースターの対決に、球場にはどよめきと歓声がこだました。
浜風が吹く中、それをものともしない強烈な打球。チームは当初“投手・大谷”を最も警戒していたが「何じゃこりゃと(笑)。最後は片手一本で拾ったような感じで本物だった」。“打者・大谷”の凄さも身をもって知ることになった。
その後も藤浪は得点を許し5回を終えてスコアは0-2。だが、試合はここから大きく動いた。6回・先頭の水本さんが四球で出塁すると打線が大谷を捉え、一気に3点を奪い逆転。7回にも4番打者のダメ押し2ランが飛び出し試合を決めた。
「ボールが浮き始め、球威も落ちてきた。西谷先生の予定通り、ここからが勝負。序盤は全然打てる気がしなかったけど、粘って塁に出ようと。点が入ってから、本来のチームになった。行ける、行けるってムードに変わった」
大谷は11三振を奪いながら11四死球と制球を乱し、9回途中で降板。一方、藤浪は12安打を許しながらも12奪三振、2四球と安定した投球で最後までマウンドを譲らなかった。終わってみれば9-2の大差だったが、スコア以上に見ごたえのある試合だった。