待球、単打、機動力で22得点…圧勝発進の広島商が「甲子園決勝で勝ちたい」相手
“広商野球”は存在しない? 荒谷監督「この子らで勝てる野球を模索」
しかし、荒谷監督は「その年その年に、歴代指導者の方々が勝てる野球をやってきた」と語り、金科玉条のスタイルがあるわけではないという。現在のチームも「初球からガンガン打てる選手、140キロ以上を投げられる投手がいるなら、違う野球を考えてもいいけれど、現時点でそういう選手は育っていない。いまのこの子らで勝てる野球を模索しています」と説明した。
名門・広島商も近年は低迷し、甲子園での白星は2002年春以来、実に20年ぶりだったが、植松も「そういうことは意識せず、自分たちの野球を貫こうとみんなで取り組んできました」と言う。
15点差をつけての勝利だが、2回に4点、9回にも3点を失い、荒谷監督は「7失点は課題。見えないエラーもあった」と手厳しい。植松も「最少失点で防げたはずの試合。序盤は焦り、終盤は集中力が欠けた選手もいた」と反省を強調する。「終盤の7、8、9回を意識しながら、粘り強く守りから攻撃につなげるのが、自分たちのプレースタイル」と再確認した。
今大会には、昨秋の中国大会で0-7と完敗した広島県内の宿命のライバル・広陵も出場しており、既に2日目の初戦で敦賀気比に圧勝している。荒谷監督は「選手たちには、甲子園の決勝で広陵に勝ちたいという思いがある。広陵は明治神宮大会で準優勝していて、全国の基準になるので感謝しています」と述懐した。昨夏の甲子園決勝は智弁和歌山vs奈良・智弁学園の珍しいマッチアップとなったが、今大会の決勝はひょっとすると、初の広島県勢同士の対戦となるのか──。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)