大阪桐蔭・西谷采配ズバリ選抜4年ぶり白星 先発に背番号「10」川原を起用したワケ

相手エースに苦戦は想定内 8回スクイズで突き放した

 近江(滋賀)と対戦した昨夏の甲子園2回戦。川原は4-4で迎えた8回にリリーフ登板したが、味方のエラーと2四球で満塁とされた上、決勝二塁打を浴びた。秋からは下級生の前田が台頭したが、川原も昨夏の借りを返さないわけにはいかない。「負けていられない。上級生の意地もある。この代は自分たちの学年がどんどん引っ張っていこうと思っています」と語気を強める。優勝候補の大阪桐蔭にとって、リベンジに燃える川原で初戦を勝つことが最も大きな相乗効果を生むと、西谷監督は判断したのだろう。

 試合開始時点から、ブルペンでは前田が投球練習をしていた。川原は2点リードで迎えた7回に1点を失い、最少得点差となった。その裏の先頭打者が川原で、代打を送り8回から別の投手へスイッチする選択肢もあったが、西谷監督は「向こうの打線は川原のボールに合っていないと感じたので」と続投を決断。功を奏した。

 一方、打線は好投手の鳴門・冨田遼弥投手(3年)を打ちあぐんだが、こちらも西谷監督にとっては想定内だった。3回にチャンスを生かして2点を先制。1点差に詰め寄られて迎えた8回には、1死一、三塁で主将の星子天真内野手(3年)がスクイズを決め、突き放した。

「冨田君は試合前のブルペンで、噂通り非常にいいボールを投げていた。これはなかなか点を取れないと感じた」と言う西谷監督はナインへ向け、柔道に例えて「1本勝ちしなくても寝技に持ち込んで判定勝ちでいい。スクイズをしてでも点を取るぞ」と言い聞かせていたのだった。

 2回戦は26日、広島商と対戦する。西谷監督は「川原を含めてみんなで準備したい」と話した。昨年は春夏合わせてわずか1勝に終わったが、今年は頂点へ向けて指揮官のシナリオに狂いはなさそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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