「独り相撲はアカン」 初回3四球から87球完投、近江エースが復調できた理由

近江・山田陽翔【写真:上野明洸】
近江・山田陽翔【写真:上野明洸】

初回に3四死球と犠飛で1点を先取されるも終わってみれば5安打2失点完投

 第94回選抜高校野球大会は25日、阪神甲子園球場で大会7日目・2回戦の第1試合が行われ、近江が6-2で聖光学院で破り2003年以来、19年ぶりにベスト8進出。エースの山田陽翔(3年)は初回に3四死球と乱れながらも87球で完投する“超省エネ投球”だった。

 プロも注目する右腕の凄さは最速148キロの直球だけじゃない。初回は先頭をストレートの四球で出塁を許すなど3四死球を与え制球を乱した。右翼手の好返球に助けられたが、中犠飛だけの1点で収まったのが信じられない程だった。

 ベンチに戻ると多賀監督からも「皆で(試合を)やっているんだから、バックを信じて。独り相撲はアカン」と喝を入れられた。マウンド上で力んでいる自身を見つめ直し「無駄な力が入っていた。8分から7分に変えて打たせていく。自分の中では思い切ったことをやった。このままではズルズルいくと思ったので」と2回以降はモデルチェンジ。

 変化球を多投し低めに集める“打たせて取る”投球を心掛け、相手打線に集中打を許さない。3回は先頭に二塁打を浴びたが犠飛で1点に留めると、その後は走者を背負いながらも凡打の山を築かせた。終わってみれば5安打2失点。「一番少ないと思う」と自身最少の87球で9回を1人で投げ切ってみせた。

 初戦の長崎日大戦で延長13回2失点完投で165球を投げ抜いており、これで2試合連続完投。2日後の27日には順々決勝が控えるが「(一人で投げる)気持ちは強い」と先発マウンドを譲る気はない。

 京都国際の出場辞退により、代替出場となったがチームは順調に勝ち星を重ねている。「自分たちは日本一を掲げている。一戦必勝でチーム一丸となってやっていきたい」。急遽の出場で調整不足も懸念されたが、その姿はもうない。“エースで4番”大黒柱の山田が悲願の選抜初優勝を奪いに行く。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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