「打てなかったら健ちゃんに申し訳ないぞ」 浦和学院が相手左腕を攻略できたワケ
昨夏敗れた日大山形、優勝の智弁和歌山の打撃に刺激
第94回選抜高校野球大会の準々決勝が28日、阪神甲子園球場で行われ、第1試合で浦和学院(埼玉)が6-3で九州国際大付(福岡)を破り、2015年以来7年ぶり4度目のベスト4進出を果たした。8回に4番・鍋倉和弘外野手(3年)が放った決勝3ランを含め、2本の本塁打がモノを言った。チームは今大会3試合で4本塁打を量産している。
エースの宮城誇南(こなん)投手(3年)は1点リードで迎えた4回、今大会3試合目、通算20イニング目にして初失点を喫し同点とされた。しかし、6回に“超攻撃型2番打者”の伊丹一博外野手(3年)が左翼ポール際に勝ち越しソロ。さらに1死二塁とし、鍋倉が右前適時打を放ち点差を2に広げた。8回に再び同点に追いつかれたが、その裏の1死一、二塁で鍋倉が、カウント2-2から内角高めの速球を弾丸ライナーで右翼席に叩き込んだ。
森大(もり・だい)監督は、チームを30年間率いた父の森士(もり・おさむ)前監督が昨夏限りで退任したあとをうけて就任。「“緊迫した場面での1本の長打”をチームのテーマとしてきました」と明かす。
送りバントや進塁打でつなぐ野球を志向するチームが多い中、あえて長打を求めるのはなぜか。昨夏の甲子園初戦で苦杯をなめた日大山形、同大会で優勝した智弁和歌山に学んだのだと言う。「その2チームはつなぐ意識を持つ中でも、当てにはいかない。いい見本でした。ウチも恐れずバットを振り切ることから始めました」。