チームで1番小さかった子がドラ1候補に 二刀流左腕が持ち続ける「勘違いの才能」

「勘違いでもいいから『プロに行ける』と思って練習していた」

 少年野球をしていた頃、矢澤はチームで一番背が低かった。練習を続ける原動力となったのがコーチからの教え。今も大切に胸に刻んでいる。

「『勘違いの才能を持ちなさい』と言われました。周りから何と言われようと、自分だけは勘違いでもいいから『プロに行ける』と思って練習していました。いい意味で勘違いして野球をやっていました」

 当時はコーチの言葉に半信半疑だった。それでも「チームで誰よりも速い球を投げる」「誰よりも遠くまで打球を飛ばす」と目標を掲げて練習を続けた。高校でも大学でも「もう少し頑張ればプロに行けるかもしれない」と自分に言い聞かせてきた結果、ドラフト1位候補にまでなった。本格的な二刀流に挑戦した昨季は、首都大学秋季リーグ戦で7試合に登板して3度の完封。投手でベストナインに輝き、打者としても打率.300をマークした。

 2022年春季リーグ戦は4月2日に開幕する。「大学ナンバーワン左腕」の呼び声にも矢澤は現状に満足していない。「もっと直球の質を高めていきたい。狙って空振りやファウルを取れる直球を追い求めています」。信じ続けた「勘違いの才能」は本物になって開花。大学ラストイヤーにどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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