プロ入り後も「東海大相模の小笠原くん」 6年かけて解いた“甲子園V投手の呪縛”

中日・小笠原慎之介【写真:荒川祐史】
中日・小笠原慎之介【写真:荒川祐史】

周囲の評価を「間に受けない」…大人びた“慎之介スマイル”に宿る自信

 屈託ない笑顔がトレードマークの「慎ちゃん」は、もう24歳になった。2015年の夏の甲子園で、神奈川・東海大相模のエースとして日本一。その秋のドラフト会議では、外れ1位ながら2球団が競合し、中日に入団した。あれから6年。小笠原慎之介投手は、大きすぎる期待に応えられない日々に、嫌というほど直面してきた。

 2021年2月、プロ6年目を迎えた春季キャンプだった。前年の2020年はプロ入り最少の4試合登板。2019年も、左肩の故障が響いて7試合登板に終わっていた。「結果を出さないといけないっすからね。やばいのは、ずっとやばいですよ」。チーム内での立ち位置が苦しくなったのを理解した上で、自虐することもなく淡々と言い放った。

 あからさまな悲壮感をのぞかせないのは、覚悟の裏返しだったのかもしれない。朗らかで、誰にでも懐く性格の一方、“本当の思い”は腹の底にしまうタイプ。「小笠原もそろそろやばい」。周囲から聞こえてくる雑音は、歳を重ねるほどに受け流せるようになった。

「10代のころに比べて、他人の意見とか評価をいい意味で見聞きしなくなりましたね。ただ1試合を見ただけの評価は、真に受けないようしています。もちろん、自分のために言ってくださっているんでしょうから、ありがたいのも分かっています」

1軍デビューは交流戦の開幕、3年目には開幕投手…与えられてきた大舞台

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY