NPB史上2人目快挙の可能性あったけど…西武・辻監督が新助っ人を降板させた親心
牽制球で見事アウトに「重心が二塁寄りにかかっていることに気がついた」
投球内容は文句なしだ。最速155キロの速球を内外角いっぱいに決め、それだけにナックルカーブ、チェンジアップ、スライダーも効果的だった。4回に一塁走者の福田秀を牽制球で刺した場面については「凄く足が速いと聞いていたし、盗塁してくると思った。重心が二塁寄りにかかっていることに気がついたので、ボールを長く持った」と説明。「あそこでアウトにできたのは大きかった」とうなずいた。投球以外の技術や頭脳も並ではない。5三振を奪う一方、ジャストミートを許さず打たせて取った。
「マイナーリーグで8回までノーヒットに抑えたことはあるけれど、完成させたことはない。本当はもう少し投げられればよかった」と言いながらも、「少し疲れが出ていたし、ともかくチームが勝ててよかった」と本人も記録にはこだわらなかった。
昨年まで3年間、西武で活躍したザック・ニール投手とは、同じオクラホマ大出身で旧知の仲。来日にあたって「アメリカと違って、日本の打者は常にホームランを狙ってくるわけではない。ストライクゾーンに投げて打たせて取ることだ。いつも通りに投げれば大丈夫だよ」とアドバイスを受けたと言う。
西武はスミス降板後、8回に登板した2番手の平良が1死から菅野に右翼線二塁打を許し、継投によるノーヒットノーランも逃した。それでも9回には守護神・増田を投入し、4-0で零封勝ちを収めた。
ドラフト1位ルーキーの隅田(今季1勝2敗、防御率1.82)、同2位の佐藤(1勝2敗、防御率4.15)、新外国人左腕エンス(1勝1敗、防御率2.79)に続き、先発ローテに4人目の新顔が登場。今井が右内転筋の張りで出遅れているのは誤算だが、昨年までチーム防御率が4年連続リーグワーストの投手陣で確実に底上げが進んでいることは、チームにとって非常に明るい材料だ。