“勝利至上主義”に一石 連盟に所属せず「育成」に特化した少年野球チーム

グッドフェローズ代表の岡田千詠子さん【写真:間淳】
グッドフェローズ代表の岡田千詠子さん【写真:間淳】

練習時間は午前の3時間、昼寝の時間を確保する

 グッドフェローズは障害予防(メディカル)、フィジカル、テクニックの三位一体で指導する。選手たちの成長に合わせた練習メニューを組み、基礎体力や運動能力を向上させるトレーニングはジュニアアスリートの指導に精通した岡田さんや外部コーチが担当する。子どもたちの集中力を考えて、30分ごとに休憩を取る。練習時間を午前9時からの3時間にしているのは、練習後に昼ごはんを食べて昼寝をしてもらう狙いもある。成長ホルモンが分泌され、身長が伸びやすくなるという。

 限られた練習時間で重視するのは、トレーニングと体の使い方。練習の3分の1ほどは、バットやグラブを使わない。肩の可動域や柔軟性を高めるトレーニングや、無理や無駄のない走り方などを練習。怪我の予防に加えて、多様な動きを体に覚えさせている。芯に当たらないと飛距離が出ない竹のバットを打撃練習で使うのは、理にかなったスイングやミート力を身に付けるためだ。指導者の経験や感覚で野球を教えるのではなく、科学的知見で選手を育成する。

「勝利至上主義や大会を中心とした今の仕組みは、怪我のリスクを高めるだけではなく、運動能力が伸びる大切な時期に選手が成長する機会を奪ってしまいます」と甲賀さん。少年野球の現状に対する危機感からチームを創設した理学療法士は、活動を通じて風穴を開けようとしている。

(間淳 / Jun Aida)

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