選手の“サイン無視”も大歓迎 強豪ボーイズ監督が引き継ぐ甲子園40勝の名将の教え

茨城・江戸崎ボーイズ【写真提供:江戸崎ボーイズ】
茨城・江戸崎ボーイズ【写真提供:江戸崎ボーイズ】

「江戸崎ボーイズ」の渋谷監督は自ら考えて決断する選手育成を目指す

 野球を楽しんで、結果も出す。決して簡単ではない“エンジョイベースボール”を掲げ、茨城県稲敷市にある中学硬式野球チーム「江戸崎ボーイズ」は、チーム創設5年目の2019年に全国大会ベスト4に入った実績を誇る。チームを率いる渋谷泰弘監督が目指すのは、自ら考えて決断する選手の育成。選手の判断による“サイン無視”を大歓迎している。指導の根底には、常総学院高時代の恩師・木内幸男さんの教えがあった。

 江戸崎ボーイズのグラウンドでは、頻繁に声が飛び交う。試合形式の練習で遊撃手と中堅手の間に打球が落ちると、すかさず「声を掛け合えよ!」と指摘が入る。ただ、大きな声を出すのはベンチにいる選手たち。監督やコーチの口は動かない。

「課題や問題を指摘しない選手は、理解していないんです。選手の指摘がなかった場合にだけ、自分が口を出します。選手間で声掛けしている時に監督が口を挟むのは、選手にとって良いことではありません」

 チームを率いる渋谷泰弘監督は、指導者が“沈黙”する理由を説明する。怒声罵声の禁止は大前提だが、チームに厳しさは不可欠。ミスを繰り返さないように選手同士が指摘する厳しさは、優しさだと指揮官は言う。

「『ドンマイ』『気にするな』より、『何を見て判断したのか』『準備不足だったんじゃないのか』と問いかけることが優しさだと思います。勝たないと味わえない楽しさもありますし、嫌われたくないから言えないというのは、仲間ではないよと伝えています」

監督の考えは選択肢の1つ、バントのサインを“無視”してのヒッティングも歓迎

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